〜セレージャと未来を生きよう〜


2017年の「Show」、2018年の「GIFT」と、いずれも7位で1部リーグに残留したセレージャ。それ以前も含め、セレージャが「きわどく残留する」のは、もはや芸の域に達していると言っていい状況でした。チームの規模からすれば上出来ですが、ここらで飛躍したいもの…。
そんなメンバーの思いをのせて、2019年の浅草で披露したエンヘードは「野生生物」。チーム内で公募し、選ばれたテーマです。
当初は「絶滅危惧種」。文字通り、絶滅の危機に瀕している野生生物のことです。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストには、最も絶滅の恐れが高い3つのカテゴリーに計4万8,646種も指定されています(2025年10月時点)。生物種のおよそ3割が絶滅危惧種という統計もあるようです。しかも近年、そのスピードが加速しています。
原因は、人間にほかなりません。環境汚染、温室効果ガスによる気候変動、乱獲…。人間が快適に生活するために冷暖房や自動車を使う、動物の革で着飾る、何気なくゴミを捨てるといった行動の1つ1つが、野生生物を死に追いやっているという文明社会への警鐘を、浅草で発信しようという、ひときわ社会的なエンヘードでした。
とはいえサンバですので、見て楽しいパレードでなくてはいけません。有志のメンバーで討議を重ね、華やかなパレード構成に仕上がりました。
本番の8月31日(土)は快晴。チームの代名詞である桜で彩られたコミソン。キリン、ヒョウ、象といった美しい動物たちの化身となったパシスタ。その周りをうろつく密猟者。バテリアは、生命をはぐくむ森林。かわいらしいチョウの羽をつけたクリアンサス(子どもの踊り手)、シマウマやクラゲ、蜘蛛の模型を掲げたアーラ(団体)…と、色とりどり、見どころ満載のパレードを披露しました。
メロディーも明るい曲調。歌詞は、人間の罪深さと文明への警鐘という当初のコンセプトから離れて、しぶとく生きる野生生物の力強さを表現するものになりましたが、「いま救いの手を」「気づけばあいつがいない」「よみがえれ この情熱で」など、メッセージ性を含んだものでした。
2年ぶり5回目のハイーニャ(バテリアの女王)を務めた女性ダンサー・わかともは「久しぶりだから、という言い訳が効かない。ベテランだからこそ当たり前のことをこなして当たり前とみられる、と気合いを入れた」と振り返ります。「この年に作った衣装は、絶滅危惧種であるブラジルのインコをイメージしてもらった。豪華な見た目に比例してかなりの重量だったが、製作者のマリア曰く『わかともなら大丈夫』と。その重さを任されたのも嬉しかった。終わった後にバテリアメンバーの一人に『後半疲れていた時にわかともがすごいノペを踏んでいて、そのおかげで頑張れたよ。』と言われたことが一番の誇り」
結果は、8チーム中7位。飛躍とはいきませんでしたが、またも見事に1部リーグ残留です。あるバテリアメンバーは、本番直前に「入院中の父親の容態が急変した」という知らせが入り、悩み抜いた末、パレードをあきらめて病院に向かったのですが、残留できたと聞いて心の底からほっとしたそうです。
この後、新型コロナの影響で、しばらく浅草サンバカーニバルはお休みに。2023年のお試し開催では、セレージャは「再生」というエンヘードを披露しましたが、コンテストはなく、躍進も降格もないものでした。本格的な浅草カーニバルの復活は、その翌年の2024年。セレージャも5年ぶりの真剣勝負に挑んでいきます。




























(写真提供 黒澤氏・みなと氏)
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